ハードレンズがよく割れる。

ハードコンタクトレンズ

2021.09.162024.02.13

「昔に比べて、最近のレンズは良く割れるわね！」

「今まで買ったレンズは、こんなことなかったのに！」

「なんでこんなによく割れるの？」

「よく割れるから前のレンズに変えてほしい。」

ハードレンズの破損にまつわる、こういった苦情は結構あります。昔ほどハードレンズユーザーは多く無いものの、まだまだ根強い人気があります。「今まで使っていたレンズでは一度も破損したことが無かったのに、今回新しく買ったレンズは３ヶ月くらいですぐ割れた・・・」など、こうした苦情は、コンタクトレンズ販売店では「あるある」です。

なぜ新しいレンズなのにすぐ割れたりするのでしょう？？

昔のレンズは丈夫だった。
これが破損原因だ！
お手入れ方法を変えてみますか？

昔のレンズは丈夫だった。

これ、お客様によく言われます。

「前のレンズは１０年くらい持ったわよ。このレンズは３年くらいで割れたわよ。弱いんじゃない？」

そもそも、最近のハードレンズは平均寿命は２年半前後と言われています。それを前提として考えると、妥当ではないかと思ってしまいますが、それをあからさまに言うと、もめます。

最近の常識であって、そのお客様の常識ではないのです。このあたりは、正直ベテランのスタッフでないとうまく対応できなかったりしますね。と、ま～接客的な部分はさておき、昔のレンズは本当に丈夫だったかどうかについては、その通り、事実です。

昔のハードレンズは、古いものですとPMMAという素材が使われていて、これは非常に長持ちしました。人によっては１５年以上とか２０年以上とか、そんなレベルの長持ちです。ただ、良いところはその寿命の長さぐらいでして、その代わりに酸素を全く通さないので酸素不足による眼障害が見受けられました。今、この素材のレンズはすでに製造されなくなっているので、見ることはまれですが、以前は国内大手のメニコンやシードも製造していました。

現在のレンズは、RGPと呼ばれ、酸素を透過する素材が採用されており、裸眼に近い酸素透過性を持つレンズが大半となっています。瞳に対する負担軽減を重視していて、素材も昔よりも柔らかくなってきているため、強度や寿命は落ちてきているのです。

こうした背景など、お客様は知る由もないので、認識の違いから苦情のようになってしまうこともあります。このあたりは丁寧な説明をレンズ買い替えの段階でお話ししておいた方がよいですよね。ほんと。

これが破損原因だ！

ここからは私の経験上の話なので参考程度にしてくださいね。私が思う主な破損原因を３つ挙げます。

以前のよりもレンズ直径が大きくなった。
二本指洗浄をしていた。
素材の違い。

よく破損が起きる方は、この３つ原因が、重なって破損が起こっているような印象があります。

これまでよりも、レンズ直径が大きいレンズを購入して、なおかつ、人差し指と親指で上下に挟み込むような洗浄方法を毎日していた場合、大きいレンズは、レンズの弧が深くなりますから、上下圧が強いと、割れやすくなります。これまでと同じ力加減でも割れやすくなってしまいます。ゴシゴシとこすっている方も要注意ですね。

直径の大きいレンズには、それ相応の手入れの仕方があります。推奨する方法は手のひら洗浄です。手のひらで洗浄することで局所的な力が加わりにくくなり破損防止につながります。ソフトレンズを洗浄するときのやり方ですね。

そして、素材の違いですが、これは前述していたことと繋がります。昔と比べ今の素材は酸素透過性を高めているためレンズ強度が落ちています。なので、これまでと同じ力加減だと破損しやすくなることがあります。ただ、レンズ素材によっては破損しにくいものもあります。東レのブレスオーハードというレンズは、高い柔軟性を誇っており割れにくいです。その代わり、その柔軟性のためレンズが反転しやすいという欠点もあります。このレンズも手のひら洗浄をすることで、レンズ反転はしにくくなります。